添架送水管は橋梁の変位に追随しなければなりません。今回、その最大値は[橋軸方向変位置:±1,503mm]となっており、一般の橋梁とはちがって、橋梁の変位、挙動の規模ははるかに大きく、大伸縮を含めた橋梁の変位に対応する伸縮装置の設計・開発が必要でした。
(1) メンテナンスフリーを目指した管種の選定
(2) 橋梁の変位に対応可能な伸縮装置の設計
・主塔部中央径間側:端軸方向変位量の最大値(設計地1,600mm)
(3) 一般部の構造形態 |
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管体仕様 |
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今回、管種に求められる条件は、「たわみ性に富むこと」、「継手が離脱しない構造であること」、「重量ができるだけ軽いこと」および「管内面塗装の補修が不必要であること」であり、以上の条件を満足する管種としてステンレス鋼鋼管(SUS316)を採用しました。
また、ステンレス鋼鋼管(SUS316)といえども飛塩の影響のよって腐食する可能性があり、またなんらかの接触によるキズを防止する目的からも外面防食を考慮し、ポリエチレンヒ被覆(直管部)、ポリウレタン被覆(異形管部)および熱収縮性架橋ポリエチレンチューブ(継手部)としました。 |
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管体標準断面図 |
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大伸縮装置 |
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明石海峡大橋の挙動は桁端部において、端軸方向変位量が1,503mmであり、この変位を伸縮装置で吸収する必要がありますが、従来の伸縮管単体では伸縮量は数十cm程度が限度であり、対応不可能でした。
今回はこの橋軸の大変位をはじめとした三次元的な挙動や変位に対応可能な伸縮装置を考案・開発しました。 |
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大伸縮装置の構造 |
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今回採用したU字型伸縮装置は、連続した2個の可撓管の角折れへ似により橋軸方向変位を吸収しようとするものであり、可撓管間の長さを配慮すれば従来の可撓管を使用して、所要の変異量を吸収することが可能です。今回計画の占用スペースにおいて、可撓管間の必要長さを確保出来ることから計画に合致した案でありました。
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大伸縮装置の構造の比較検討 |
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採用案は(1)案
案 |
形式 |
平面略図 |
(1) |
U字型(2)
(可撓管
2個使用) |
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(2) |
U字型(2)
(可撓管
2個使用) |
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(3) |
蛇行型
(可撓管なし) |
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(4) |
ループ型
(フレキシブル管使用) |
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一般部の構造形態 |
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桁端部以外の一般部の支持形態は、1格間(14.2m又は14.0m)毎にリングサポートを設け、橋梁の補剛桁に支持しています。
暴風時に生じる中央径間での支間中央付近の橋軸直角方向の最大変位量は32mです。よって暴風時における応力緩和のために一般部においては、伸縮管を3格間について1箇所設置しました。
また、伸縮間で区切られた区間毎に1箇所を橋梁と固定する固定支承を設定しました。一般部の橋梁の挙動および管の温度伸縮はこれで十分吸収できます。
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大伸縮装置の構造 |
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大伸縮装置の平面図 |
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大伸縮装置の構造は、連続した2個の可撓管の角折れ変位により、橋軸方向変位を吸収しようとするものであり、可撓管間の距離を4.25mとすることにより、1,600mmの移動量に対応できるようになっています。
さらに、可撓管の角変位量を均等化するためにパンタグラフを取り付けるとともにパンタグラフの頂点部における結合型リングサポートによって2条の送水管を連結し、それぞれが同じ動きをするようにしました。
なお、大伸縮装置の支持は配管用ステージ(主塔部両側の2箇所で合計4箇所)上でリングサポートにて行うこととし、底面は可動型としました。 |
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大伸縮装置配置平面図 |
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伸縮概念図 |
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大伸縮装置部の可撓管について |
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大伸縮装置に使用する可撓管は「管路の連続性を保つこと」、「より高い水密性を有すること」および「繰り返し撓みに対応できること」の理由から、ベローズ型とするが、これの薄肉ステンレス部(二層)には変形による曲げ応力が生じ、繰り返しによって疲労破壊を生じます。したがって、この可撓管は維持補修を行う必要があるため、その疲労特性を確認する目的で、原寸大で同じ材質を使った模型による繰り返し試験を行いました。
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本実験で記録した破損回数は、常時(43,140回)、最大時とも計算値を上回りました。したがって、耐用年数の設定は安全を考慮して、計算値(常時16,206回)に基づくこととし、次のとおり求めました。
耐用年数=破損回数÷発生頻度=16,206回÷2回/日=22年≒20年
なお、発生頻度は想定であり、橋の供給開始後のデータによって、より実際に近い年数を設定することとしています。
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